

長綱淳平さん&桃絵さん
(ながつなじゅんぺい&ももえ)
2007年から3年半をかけ世界一周旅行を決行。
帰国後、小さな出版プロジェクト「World &
Sons. Bookseller」を立ち上げる。
旅の間に記録していた写真と日記を編集した"旅のZINEシリーズ"は、vol.1のジンバブエ編から最新号コロンビア編まで計14冊にわたる。
【LINK】
World & Sons. Bookseller
今回お話を伺ったのは、世界一周旅行の記録を綴った"旅ZINEシリーズ"を制作する長綱淳平さん&桃絵さんご夫妻。学生時代の同級生だった2人が結婚式後、3年半の旅に出発。国や地域ごとに分けて仕上げた冊子の中には、2人が現地で見て触れて感じた出来事や日常風景がぎゅっと詰まっています。心温まるお話からビックリ仰天なエピソードまで、読み応えたっぷりの内容でお届けします!
箱庭(以下:h):まず、旅のZINEを作り始めたキッカケを教えて下さい。
淳平さん(以下:淳):結婚式のすぐ後、2人で世界一周旅行に出ました。旅の間ずっとブログに写真や日記を載せていたんですけど、3年半分なのでとにかくすごい量になってしまって。帰国した後、何だかそれをそのままにしておくのはもったいないなと感じていました。「でも素人が本を作るのはハードルが高いしなぁ」とぼんやり思っていた時に、偶然リトルプレスやZINEの存在を知ったんです。そういうものの存在は日本に帰ってくるまで全然知らなかったんですけど、その瞬間に「これなら自分達でも作れるかもしれない」と。もちろんゼロからのスタートだったので最初はとにかく試行錯誤でした。桃絵さん(以下:桃):2冊目を作り終えた頃、ちょうど石川県にある金沢21世紀美術館でZINEの企画展が行われていたんです。個人で作ったZINEも展示してくれるイベントで「作れるだけ作って送ろうよ」って。そのイベント開催中は色んな人に見てもらいたかったので、1週間に1冊ペースでたくさん作りました。その間に現在のスタイルが確立していった感じです。最終的には計8冊送って、イベント終了間際には実際に展示も見にいきました。自分達が作った本が並んでいる様子を目にしたときは、すごく嬉しかったですね。
h:やっぱり作ったからには色んな人に見てもらいたいですもんね。現在はBOOK246や代官山蔦屋書店、Mountzineなどにも置かれている"旅のZINEシリーズ"ですが、一番最初はどこだったんですか?
淳:当時、一緒に活動していた友人のWEB SITE『福富書房』(from 北鎌倉)に、travel zine を載せてもらっていたのですが、モブロさんはその中の記事を見て、連絡を下さったのです。お店で旅のZINEシリーズを扱いたいと言って下さって。それが一番最初のキッカケですね。当初は本を販売する予定ではなかったんですけど、せっかく声をかけて頂いたから、ちゃんと販売できるようにもっとしっかり作ろうって。それまでのものをブラッシュアップしてお店に置いてもらうことにしました。
h:へぇ!ステキ、縁を感じますね。お2人のZINEはすべて自宅で制作(!?)しているとのことですが、具体的にどうやって作っているんですか?
桃:基本的には写真はすべて旦那さんが担当しています。あと本のデザインや製本も。時間があるときはもちろん一緒に作るんですが、私が忙しいときは中の文章や写真の一部を担当して、後は旦那さんが仕上げてくれるというときもあります。たまに現地の料理を再現して載せているんですが、それは私が担当しています。淳:大体1号作るのに2~3カ月ほどかかりますね。レイアウトしたり、プリントしたり、紙を糸で縫う一連の作業は僕がやることが多いです。縫う作業はかなり力が必要なので。で、出来上がったものにああだこうだ言うのが彼女(笑)。意見の対立もたまにありますけど、そんなときは"どちらも尊重しつつ、どちらも嫌じゃない形"で落ち着きます。意見が対立するというよりも、意見が異なるといったほうが正しいかも。お互いがその国に対して抱いているイメージや印象が異なっていれば、書く文章もそれぞれ違う。

h:それは、同じ空間で同じ時間を過ごしていたとしても?
桃:はい。例えば"座る位置"が違うだけでその場所の印象は全然違う。私と彼が背中合わせで座っていたとしたら、お互い見えている風景が違いますよね。目にした風景だけじゃなく、そのときの心境や天候とか、そういう要素もすべてが組み合わさって記憶に刻まれていくと思うので。h:なるほど。そういえば本のデザインや紙が毎回違いますが、それもその国の印象によって決めているんですか?
淳:そうですね。ZINEで使用する紙を探してるうちに「この色イメージに合いそう」みたいなことはあります。あとはそのZINEを作っている時の自分達の"流行り"で決めることも。だから表紙に写真を入れたり文字だけの時もあります。
h:何だか制作過程も楽しそうですね。ZINEを作っていて良かったと思う瞬間はどんな時ですか?
桃:やっぱり読んだ人から反響を頂いたときでしょうか。「旅のZINEシリーズを読んでその国に行ってきました」と言われた時はすごく嬉しくて。「その場所に行ってみたら実際はこうだった」「今はこんな風に変わってる」なんていうコメントをもらうのもすごく新鮮。あとは、イベントや取材などで今まで出会う機会がなかったような人達と出会えて世界が広がるのも楽しいです。淳:ZINEは自分達がやってきた"旅"を客観的に見れるいい機会になっています。その時は意識していなかったけど今日本で生活している中で「あんなことやっていたんだな」と新たな発見があったり。旅から帰ってきたら終わりにせず、こうしてZINEにその国の風景や当時の僕らの気持ちをアーカイブすることで、旅とずっと繋がっていられる気がします。

h:ずばり、お2人が感じている「ZINEの魅力」とは?
淳:自分達の好きなように作れるところ。書籍や雑誌を作ろうとなると、ハードルも高いし色々なしがらみもありますが、ZINEは判型も紙も大きさも内容も100%自由。絵を描くように"自分が作りたい形"を思い切り描くことができるのがZINEの何よりの魅力じゃないでしょうか。

BOOK246
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