
何かと話題のエリア“東東京”散歩で、ものづくりを感じる。
こんにちは!箱庭キュレーターのシオリです。
東京とひとことで言っても、いろんなエリアがあります。
近頃は、なかでも”東東京エリア”が注目されているような気がします。
Blue Bottle Coffeeの日本進出の地が清澄白河なのはもっぱら話題だし、
以前に箱庭のつくりびとで、OZmagazine編集長が注目の街として東東京エリアを挙げていました。
我らがケイナ編集長も、蔵前にあるNui. HOSTEL & BAR LOUNGEに遊びに行っていて、楽しそうでした!
ということで、なんだか東東京エリアが気になるなぁ…と思っていたら、素敵な展覧会が開催中との情報が!さっそく足を運んでみたので、レポートさせて頂きます!
日本の価値あるモノ・コトを「縁起」という切り口で再発見する、
「縁起門」プロジェクト
今回伺った展覧会は、「縁起門」というプロジェクトのグランドオープンを記念して開催されたもの。
「縁起門」とは?
“日本には長い歴史に培われてきた
価値あるモノ・コトが宝の山のようにあります。
しかしそれらのなかには、ともすれば日本人にすら忘れ去られ、
埋もれた文化となってしまっている事柄もあるようです。
そのような日本の価値ある技術、製品、デザイン、
そして、それらの背景にある物語を「縁起」という切り口で再発見し、
発信していくプロジェクトが「縁起門」です。”
(縁起門ホームページより)
世の中の縁起を良くするプロジェクトということで、ホームページには「縁起」という切り口で集められた商品や、それにまつわるストーリーが紹介されています。
その「縁起門」が、アーティスト/デザイナーの高橋理子さん・放送作家・倉本美津留さんとコラボして、今回の展覧会「縁 -A Sign of Luck-」を開催。
最初に、高橋さん・倉本さんの簡単なご紹介!
高橋理子さん
「人々の日常に存在する固定観念を覆し、思いを巡らせるきっかけを生み出す」という目的のもと、幅広く活躍するアーティスト/デザイナーさんです。円と直線で構成されるデザインと、高いレベルでモノづくりをされている職人さんとのコラボレーションで、新しい価値を持った作品を生み出しています。
倉持美津留さん
Eテレこども番組「シャキーン!」や「ダウンタウンDX」を手がけ、これまで「ダウンタウンのごっつええ感じ」「M-1グランプリ」など多くのヒット番組を仕かけてきた放送作家さんです。その他にも、シンガーソングライターやパーソナリティなど様々な顔を持ち、多方面でその才能を発揮しています。
こんな素敵なクリエイターさんとのコラボによる展覧会。
絶対面白いはずですよね!
それでは、レポートスタート!
今回の展覧会の開催場所は、押上にある高橋理子さんのスタジオ。
東京スカイツリーからすぐの場所です。
八百屋さんなどの商店が軒を連ねる賑やかな通りを歩いていると、大きな白い扉とガラス張りが特徴的な建物が目に飛び込んできます。
この扉、実は自動ドア!こんな大きなドアがゆっくり開くところから、わくわくしてしまった私です…。

こちらが、高橋理子さんのスタジオ
一歩中に入ると、高い天井の空間に、たくさんの作品が展示されていました。
まずは今回のメインの展示作品である、転ばない達磨「縁起達磨」が鎮座しているのが目に入ります。

この「縁起達磨」は、高橋理子さんと縁起門によって共同企画されたもので、この展覧会で初のお披露目だそうです。
基となるのは香川県琴平町の伝統工芸で、転ばないように足をくずした「ヘタリ達磨」。
達磨は七転び八起き精神の象徴として縁起が良いとされますが、「ヘタリ達磨」は、そもそも転ばない!という更なる縁起の良さが込められています。
独特のフォルムは、なんとも言えない安心感があり、どっしりと座っているように見えました。
「縁起達磨」は讃岐一刀彫り総本家山中象堂が制作し、そこに福島県会津の伝統技法である会津塗りが施されます。
達磨といえば、赤を思い浮かべてしまいますが、「縁起達磨」は金・銀・漆の三色。
漆が生み出す落ち着いた素敵な色味でした。
達磨が座る座布団は、末広がりの八角形。
高橋理子さんデザインのドット柄が印象的です。
この縁起達磨をはじめ、展示されている作品たちを高橋理子さんご本人が案内して下さいました。

丁寧にご案内して下さった、高橋理子さん
縁起達磨の両サイドには、高橋理子さんをモチーフにしたオリジナルのマネキンが!
力強い仁王立ちが素敵です。

このマネキンは、スタジオをオープンする時に作ったそうです。纏っている着物は、古い着物を脱色して染め直した着物とのこと。

後ろ姿も。
この着物と帯も、高橋さんのデザインというだけあって、シンプルだけど華やかな印象もあり、とっても素敵でした。
続いて、今回の展覧会のメインとなるもう1つの作品をご紹介します。
放送作家・倉本美津留さんの作品「エンギナ」の掛け軸です。
「エンギナ」とは、外国人や企業・グループ名等の漢字名を持たない名前に縁起のよい漢字の名前をあて、
書道作品やTシャツハンコ等にして送付するサービスのこと。
例えば、Tom Smith(トム・スミス)さんであれば、富 寿美清「美しく清らかに富の寿が保たれる」といったように、
漢字をもたない名前であれば、何でも縁起のよい漢字名にしてくれます。
今回の展示では、誰もが知っている海外アーティストや海外企業名が漢字名になった掛け軸が、会場の天井から吊り下げられているんです。
下の写真中央にある“麗人雅牙”。
これ、何だかわかりますか?

正解は、“レディー・ガガ”なんです。
「雅な牙を持つ麗しい人」という意味が込められているそう。
ただの当て字じゃなく、縁起が良いふうに仕上げられているのが面白いですね。
その他にも…
“通意多“ ⇒ “ツイッター”
“愛溢” ⇒ “アップル”
“出美夢逢” ⇒ “デミムーア”
など、どれも不思議と縁起が良い漢字になっていました!
外国人の名前のエンギナをハンコにしたものも展示されていますよ。

Jackさんにプレゼントしたら喜ばれそう!
高橋理子さんのお話では、倉本さんはエンギナを書くとき、悩むことなくパッと直ぐに漢字を思いついて筆を動かすのだそう。知識の豊富さと独自のセンスから、このエンギナは生まれているんですね。
会場には、先ほどのレディー・ガガ以外にもたくさんのエンギナが展示されていますので、色々見てみると楽しいですよ!
スタジオの奥の方には、高橋理子さんデザインの商品も置かれていて、その場で購入もできます。
こちらに並べていただいたのは、扇子。

これは、“江戸扇子”なんだそう。
雅な文化から生まれた“京扇子”に比べて、粋でシンプル、質素倹約の文化から生まれたのが“江戸扇子”。
高橋理子さんのデザインと、職人技から生まれる、魅力的なプロダクトです。
こんなカラフルな紙ものもありました。

透ける和紙の質感が、きれいでした。
これは、もともとは海外向けに作られたものだそう。蛍光色を使った和紙は、珍しいかもですね!紙もの好きの方、必見です。
扇子も和紙も、日本に昔からあるもの。
現代のようにテクノロジーがなかった時代に生まれたものは、シンプルです。
電気や機械を使わず、職人さんの技術によって作られています。
その製品自体や職人技がいくら素晴らしくても、時代にあったデザインでないと使ってもらえない。
使われなければ、職人も新しい技術も生まれない。
そんな考えから活動されている高橋さんの作品は、昔からの職人技と高橋さんの新しいデザインが見事に融合していました。
スタジオのある東東京エリアは、高橋さん曰く、ものづくりをしている職人さんがほんとに多い!とのこと。そんな街で出会う高橋さんの作品、普段触れ合うことのない新しい発見でしたよ。
こちらの展覧会は、1月31日(土)までなので、是非開催中に足を運んでみてくださいね!
1月24日(土)には「縁起達磨」のオリジナルアイシングクッキーを作るワークショップも行われるそうですよ!
「縁 –A Sign of Luck-」
会場 高橋理子押上スタジオ
〒130-0002 東京都墨田区業平4-11-2 TEL 03-6456-1624
開催日時 2015年1月10日(土)~1月31日(土) 14:00-19:00
月・火・水 14:00-19:00/金・土・祝日 11:00-20:00
※休廊日:毎週 木曜日・日曜日
入場料 無料
◆参照元
〜おまけ〜
展覧会と合わせてまわりたい!東東京エリアのオススメスポット紹介
冒頭にも記載しましたが、東東京エリアの動きが面白くなっています。独自のコンセプトを打ち出した魅力的なお店もたくさんあります。ということで、せっかく東東京に行くなら、こんなスポットもおすすめですよ!
・東京都現代美術館 http://www.mot-art-museum.jp/
・Nui.(ゲストハウス・カフェバー) http://backpackersjapan.co.jp/nui/
・カキモリ(文具店) http://www.kakimori.com/index.html
・サルビア(テキスタイル)のアトリエ http://www.salvia.jp/index.html
・SyuRo(デザイン雑貨) http://www.syuro.info/
・Pelican(パン屋) http://www.bakerpelican.com/