
「見えないから、見えるもの」を体験する
真っ暗闇の不思議なワークショップ
こんにちはー、なかじです。
さて、いきなり本題ですが
DIALOG IN THE DARK(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)に初めて行ってきました。
日本で初めて開催されたのが1999年、今年で常設5年目ということなので、
かなり遅ればせながら、なのですが。
箱庭を読んで下さっている読者の皆さんの中にも
「行ったことあるよ」という方がいるかもしれませんね。
「眼で見ない展覧会」
「まっくらやみのソーシャルエンターテインメント」
などと言われるこのダイアログ・イン・ザ・ダーク。
一風、いや、かなり変わったワークショップなんです
場所は外苑前のあるビルの地下。
当日そこで初めて会う人たちと8名1グループになってスタートし
光が全くない真っ暗闇の中を散策する体験コンテンツ。
中は本当に真っ暗なんですよ、なんっにも見えない。
大学時代、養教講義の一環で
アイマスクをして構内を歩くという授業があったんですが
そのときの暗さとは全然違って。
アイマスクをしたり目を瞑ったりしても、少しだけ光が漏れるんですね。
人工的に作られた真っ暗闇を体験して、
本当の真っ暗ってこんな感じなんだ!と初めて知りました。
「え、でも何も見えない中をどうやって歩くの?」と疑問が浮かびますが、
その空間を自由自在に歩く、天才的なアテンダーがちゃんといます。
アテンドしてくれるのは、目が不自由な(視覚障害を持っている)方。
この日アテンドをしてくれたのは"マー君"という男性の方だったんですが、
スタスタ~っと何のためらいなく歩いていく。まるで全部目で見えているようで
これが本当にすごい。衝撃でした。
私たちは入口付近で自分の身長に合った白杖(はくじょう)を1本選び、
マー君の誘導のもと、手探りで進んでいくわけですが...
怖くてなかなか前への1歩が踏み出せない(汗)
それでも進まなきゃいけないので、
地面の感触やマー君の声を頼りに
そして手で周囲に何か障害物がないかを確認しながら
そっとそっと歩いていく。
それに反してマー君は
「みんな、こっちですよ」「一歩前に段差がありますよ」
「もうちょっと左側に寄ってくださいね~」と
私たちの動きも全部見えているみたいに、
半歩の距離感でさえもすごく正確に指示を出してくれます。
「何で見えていないはずのに、わかっちゃうんだろう?」って
ほんと、びっくりしますよ。
光が差す外の世界と違って
ここではマー君の力添えがなければ私たちは何も出来ない。
でもマー君は躊躇なくスイスイ歩いていくし、どこに何があって
空間内がどんな構図なのかを全部わかってる。
マー君がいる安心感たるや。
参加している私たちは何も見えない中、お互いに
「こっちに段差あるから気をつけて」
「〇〇(自分の名前)、こっちにいます~」
と声を掛け合ったり、手を掴んで
「ここに手すりがありますよ」
「これ触ってみてください」
と誘導し合います。
その日会ったばかりで、話したこともなければ
顔だって最初のほうにチラッと見ただけであんまり覚えていないのに
気付けば喋ったり、冗談を言い合ったり、体に触れることに
何の抵抗もないことに、ふと気付きます。
もっとも、それに気付いたのは最後の最後だったんですけど
暗闇の中にいる内はそんな意識全くなく
進むのに夢中だから全然気付かない。
なぜかわからないけど、
そうやって声を掛け合ったり手や肩を触っているうちに
だんだんと絆というか親密感と言うか、全体のチーム感というか...
何とも言えないつながりを感じてくるのがこの体験の不思議なところ。
人と人の距離が近づく速さが、外の世界と比べものにならないほど早い。
私たちは普段、初対面の人と会うと
パッと見てまずは視覚でその人の人となりを判断しますよね。
例えば、女性だなとか、服のデザインとか系統とか、
年齢は20代後半~30代前半かな?とか。
第一印象は見た目が9割と聞いたことがあるけれど
確かにその通りで、やっぱり視覚に頼るところが大きい。
人だけじゃなくて、モノもそうだと思いませんか?
自分自身、例えばfacebookやinstagramのタイムラインで
流れてくる情報の中で、画像をパッと見で「イイネ!」することも多いし
服だって、雑貨だって、食べ物だってまずはパッと見の形や色が判断要素になって
匂いや触感、重さや温度はその次なことが多い。
だから、視覚に頼らない、というか頼れないことがすごく不思議で。
あっという間に90分の暗闇体験が終わり、
外の明るい空間に出るとここで1つ違和感。
さっきまで喋ったり笑ったりしながら一緒に散策していたメンバーが
外に出ると何だか別の人のように見える。
もちろんすり替わってるわけでもないし、声も確かに一緒なんだけど
暗闇の中で話していたときより、お互いに少し距離が出来るんですよ。
変な意味ではないのだけど、「あ、こんにちは」みたいな。
普段、明るい場所で初対面の人と挨拶するときの感覚と同じ。
あの暗闇の中で過ごした90分は夢だったんじゃないか?
大げさに聞こえるけど、そんな感覚なんです。
思い返してみると、小さい頃は知らない人と話すことや
体に触れることに抵抗がなかった気がします。
会ったことのない同年代の子供がいると、いつのまにか一緒に遊んでいたり。
目隠しゲームをしたり、目を瞑って自転車をどれだけ漕げるかを友達と競ったり
暗闇にも抵抗がなかったような気が。
そう考えると、この暗闇は幼少期にスリップさせてくれる
タイムマシーンのようなものだったのかも?
とにかく、すごく不思議な経験でした。
ちなみに暗闇の中ではただ歩くだけでなく、
モノを作ったり(言いたいけどヒミツ)、色んな体験をしました。
ちょこっとだけネタバレすると...お酒も飲めます(笑)。
気になった人は是非足を運んでみて下さいね。
値段はちょっと高いけど
でもそれだけの価値はちゃんとあると思います。
【ダイアログ・イン・ザ・ダークHP】
www.dialoginthedark.com
【住所】東京都渋谷区神宮前2-8-2 レーサムビルB1F
【アクセス】東京メトロ銀座線・外苑前駅下車 徒歩8分
JR中央線・総武線 千駄ヶ谷駅 徒歩12分
【チケット】大人 5,000円 学生 3,500円 小学生 2,500円
【TEL】03-3479-9683

※ちょっと画像荒いですが...
ロビーは明るいです!