
クリエイターの強い味方!
大人気のレトロ印刷JAMってどんなとこ?
大人気のレトロ印刷JAMってどんなとこ?
こんにちは。Keinaです。
先日、箱庭のガッコウ in 大阪を開催するため、大阪へ出張していた時、
箱庭DMの印刷をお願いしている、手づくり感のある、ゆるくてレトロな印刷ができる「レトロ印刷JAM」へ行ってきました!

ちなみに、箱庭のDMは、こんな感じ。
はじめてお会いした方に渡したり、イベントでいつも大活躍。
デザイナーの間では、それはそれは、とても有名な印刷所で、
ギャラリーやカフェなどで見かけるオシャレなDM、チラシ、ショップカード、ポストカード、
はたまた、オシャレな人からもらう名刺、年賀状、ZINE、リトルプレス、
そして、紙モノ雑貨、書籍まで、様々なところで目にする機会が本当に多い今日この頃。
知らないよーという方でも、知らず知らずに手に取っていることも多いハズ。

写真は、ATELIER to nani IROとレトロ印刷でいただいてきたもの。
私の中では、いつからか、
かわいい紙モノ = レトロ印刷 と結びつくほど。
そんな、ステキな紙モノが、どんな場所で生み出されているのか見てみたくなり、
ぜひとも取材させてほしいとお願いしたところ、快く承諾してくれました!(ありがとうございます!)
工場見学、工房見学が好きなので、かなりワクワクしながら、いざ工房見学へGO!

大阪市営地下鉄中崎町駅より徒歩8分のところに「レトロ印刷JAM」はあります。
白板と看板が目印。1階が印刷所で、2階がお店。
左手に見える入口から中に入ります。さっそく、おじゃましまーす!
迎えてくれたのは、代表の山川さんと女性スタッフの山本さん。
まずは、工房から見学スタート。
現在スタッフは、21名いるそうで、7割が女性スタッフとのこと。意外ですね!

こちらは、お客さんから届いた入稿データをひとつひとつチェックしているところ。
難しい印刷の時などは、お客さんに相談し、理解してもらいながら一緒に進めていくそうです。
日々様々なデータを印刷しているプロに相談できるのは、心強いですね。

データチェックが完了すると、さっそく印刷!
版に孔をあけ、そこからインクを通して印刷する方式で、プリントゴッコやシルクスクリーン印刷と同じような仕組みです。

こちらの印刷機は何度も機械に通して印刷するため、必ずと言っていいほど、ズレが生じるそうです。
刷る色の組み合わせや順序で全く違った表現ができるので、刷ってみないと出会えない発見もあるとか。
カスレ、色ムラ、ズレが個性となり、いいアジを出してくれます。(逆転の発想!)
アナログ感、懐かしムード、いいアジ、風合い、手触り、色移り、そんな感覚が今とても楽しいのです。
通常印刷では、タブーとされていることも特性として捉え、新しい印刷との関わり方を提案してくれいます。
美しい4色印刷があたり前の世の中、この手間や工夫の詰まった印刷がクリエイターさんたちに喜ばれています。

こちらは、合い紙を挟んでいるところ。
合い紙とは、印刷物を重ねたとき、裏面にインクがうつらないよう挟まれる紙のこと。
1枚1枚高速で印刷される間に、なんとスタッフが手作業で、
まるで餅つきの時の返し手のように素早く合く紙を差し込むという技!
うっかり、よそ見はできない仕事である。
そうそう、編集部では、合い紙をメモ用紙として使っています。
レトロ印刷さんでは、データチェックから、印刷、加工など全員がローテーションで持ち場を担当しているそうです。
どの行程も大事だからこそ、全て理解すると全体が見渡せて、もっといいものが作れるんでしょうね。

日々の作業の中で、もっとスムーズに印刷や加工できるよう、微調整や工夫をしているところを発見!
たとえば、この小型のファン。
これは、印刷する前の紙がくっつかないように風を送るためのもの。
この発明のおかげで、ずいぶんスムーズになったそうです。この小さな工夫とても好きです。紙への愛を感じます。

レトロ印刷で扱っているインクは、なんと24色!
メーカーにお願いして新色を作ってもらうこともあるそうです。
レトロ印刷の有志により発足された印刷の実験研究所JAM LABOという活動もしていて、
facebookページで「新色インク総選挙」を開催し、お客さんに新色を投票して決めるという面白い試みもしています。
人気のあった色が実際に「ラムネ」という新色が登場しました!
あとは、私もサンプルを取り寄せた、ちょっとリッチな「金インク」も登場していますよ。
白や蛍光色もあるので、表現の幅がぐっと広がりますね。これがレトロ印刷の魅力です!

こちらは、紙を保管しているところ。
ざらっとした質感から、懐かしい手触りまで、いろんなおもしろい紙が揃っています。

時々、新作の紙を探す旅にも出ていて、四国、福井、静岡などで、いい紙を見つけたそうです。
ある時は、電球の包み紙、ある時は、襖の裏紙なんかから、商品の紙を見つけることもあるそうです。面白い!
こんな風に、印刷用の紙ではないものが、商品になることも多いそうです。紙探しの旅は今後も続きます。(楽しみ!)

1回の印刷で、2色刷れます。
2色以上の場合は、一度刷ってから、1日乾燥させるそうです。
ここからは、加工する機械です。

こちらは、ツヤプリの加工をするための、アメリカ生まれのバーコ印刷機。
ベルトコンベアー式の全長8mの長ーい機械!
通常どおり印刷し、そのままベルトコンベアーに流し、白い機械のところで樹脂パウダーをシャワーのように振りかけて付着させ、
次に450度の熱を加えて、パウダーを溶解&膨張させると、立体感のある加工ができます。
ツヤプリ印刷は、印刷面が立体になるだけでなく、
樹脂で加工するため、レトロ印刷の特性である「色落ち」を防ぐこともできます。
まだ、試したことがないので、今度お願いするときは、ぜひやってみようと思います!

ツヤプリが完成すると、こんな感じ!
ツヤツヤのプリプリ!こーゆうの、ついつい触りたくなっちゃうんですよね。
この写真の「印刷と遊ぶ。」という本は、レトロ印刷がつくった新作の本。
なんと、表紙や中身の制作は、案内してくださっている山本さんが担当し、
しかも表紙や中身の一部はレトロ印刷で実際に印刷したものですって!
スタッフの中には、デザイナーもいるそうで、日々いろんなものを試作したり、作品を作っているそうです。
自分たちで作れるってステキですね。

これは、断裁加工をする機械。
この機械で、好きなサイズにカットできます。

ミシン目加工の機械。
カレンダーやチケットを作るときに便利です。

これは、折り加工をする機械。
2つ折り、3つ折り、Z折り、クロス8P折りができます。
チラシや小さなパンフレットの加工にいいですね。

穴あけ加工の機械。
直径3mm、5mmの2種類の穴あけができます。
壁掛けカレンダーの穴や、タグなどに使える加工です。

角丸加工の機械。
R4、R7、R10の3種類の角丸加工ができます。

こちらは、好きな形にカットできる型抜き加工。
刃先についたカッターで、1つずつ切り出すタイプの型抜き。
型をつくらないので、少量から自由な形で加工できます。
ちょうど、レトロ印刷JAM 印刷見本の紙のファイルをカットしていて、
1枚1枚「びっくりマーク」の形に切り抜かれているところでした。
あっ!カッターマット部分に、おにぎり型発見(笑)

これは、ミシン製本用のミシン。特注で日本にひとつしかないそうです。
丁合機で丁合した後、手で表紙と中紙をひとつずつ丁合し、一冊ずつミシンをかけていきます。
糸の種類も豊富で、なんと30色から選べます。
表紙のインクとあわせたり、ワンポイントに目立つ色を選んでみたり、楽しさいろいろ。

色移り防止のため、表紙にはトレーシングペーパーが標準でつきます。
ミシンを1つ1つかけた後は、ミシンの糸がほどけないように、1つ1つ手作業で丁寧にのりづけしていきます。
気の遠くなる作業ですが、とても大事な行程。
ここから1日寝かせ、のりが乾いたら1冊ずつをハサミで切り離して、半分に折って完成!
もともとは、2001年に「スピード印刷JAM」としてスタートし、不動産屋や量販店のチラシを、早く、安く、大量に印刷していました。
会社に1台だけあったリソグラフに目をつけたクリエイターさんから、2色刷りをしたいというリクエストがあり、
そこから面白い作品が生まれ、音楽関係者の間で話題になり、口コミで広がっていったそうです。
その後、「クリエイターの力になりたい」という思いで、2008年にレトロ印刷JAMが誕生したそうです。
現在の形にたどり着くまで、きっといくつもの物語があったことでしょう。
素敵な形に進化したレトロ印刷JAM。
東京からは少し離れていますが、クリエイターの気持ちはとても近い距離の印刷所です。
益々好きになりました!
さぁ、さぁ、2階もありますよ。

階段を登ると、看板があります。
クリエイターの個展や、JAMスタッフが企画した展覧会、シルクスクリーンのワークショップなどに活用されるスペースです。

中に入ってすぐ左は、レトロ印刷で作った紙モノ雑貨やリトルプレスなどが販売されています。

レターセット、ラッピングアイテム、BOX、バッチなどが販売しています。
レトロ印刷で印刷した紙モノ雑貨は、売値をつけて買取販売もしています。作り手には、ありがたい仕組みですね。

こちらは、レトロ印刷JAM 印刷見本。
実は、一番つくるのが大変なのが、印刷見本だそうです。
印刷機で一度に刷れるのは2色、何色もの色を使い、何種類もの違った紙や形。
考えてみたら、ここぞとばかりにとっておきの印刷技術が詰まっているんですもんね!
ということで、より印刷のことが理解できるように見本を作り直し、しかも無料試刷り特典もついて、700円で販売しています。
気になった方は、ぜひGETしてみてください。ひとつあると、デザインする際にとても便利です。

レトロ印刷さんが協力してつくったという手紙社さんの本もありました。わたしも持ってます。

このスペースでは、ワークショップや、原稿がつくれます。
実際の紙やインクをその場で見て、仕上がりを検討しながら、スタッフに相談できるという贅沢スペース。
アイデアが広がりますね!
他にもシルクスクリーン製版機「ゴッコプロ」を使って短時間でシルク製版もできるそうです。(要予約)

こちらは、「JAM置き」といいレトロ印刷でお客さんが印刷したものを無料サンプルとして置いてくれます。
いろんなデザインがあるので、次回のアイデアの参考になりますね!

2時間ほど見学してみて感じたことは、
レトロ印刷は、機械がつくっているんじゃない、人がつくっているんだ!ということ。
機械を使っているとはいえ、ひとつひとつの工程が思ってた以上にアナログで、 名前のとおりレトロな現場でした。スタッフの力によって、少しずつ完成していくところが見ていてとても面白かったです。
いろんなところで、見かける紙モノは、こうして生まれているんですね。
今回は、丁寧にご案内いただき、どうもありがとうございました!
大阪にくる楽しみがひとつ増えました。また遊びに来ますね!
そうそう、今度東京で、レトロ印刷と手紙社による「印刷工場ピクニック」という何やら面白そうなイベントがあります!
レトロ印刷スタッフの方もワークショップをするそうなので、この機会にぜひ遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

日程:2014年2月1日(土)・2日(日)
時間:11:00~17:00
場所:UKIMA FACTORY/東京都板橋区舟渡3丁目28-14
問合せ:手紙社 042-444-5367
*入場無料
〒531-0073 大阪市北区本庄西1-6-14 第一明和ビル2F
TEL 06-6485-2602
OPEN 10:00~19:00 年末年始除く年中無休
入稿受付 10:00~18:00まで(18:00以降は受付できません)
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